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映画におけるパスタ:イタリア映画と日本映画に登場する代表的なレシピ

映画と料理は、まったく異なる2つの芸術です。しかし、そのどちらも普遍的な表現となるパワーを秘めています。映画は、文化の壁を超えて心を動かす視覚的なストーリーを伝えます。一方で料理は、深い記憶や感情を呼び起こす感覚的な体験を提供して、魂に直接語りかけます。 

映画におけるパスタ:イタリア映画と日本映画に登場する代表的なレシピ

こうした違いがあるにもかかわらず、両方の芸術形式には、独自の文化が持つ習慣、伝統、価値観を反映して、主観的な視点がうまく組み込まれているのです。特にパスタは、登場人物同士を結びつける要素、つまり分かち合い、アイデンティティ、文化遺産を表現できるシンボルとして、イタリア映画によく登場します。 

Pomìがお届けするこの記事では、イタリア映画と日本映画がどのようにしてパスタを讃え、ひとつの料理を哀愁と感情に満ちたストーリーテリングのツールへと変身させたのか、一緒に見ていきましょう。
 

『8月のランチ』パスタと家庭料理を讃えた映画

『8月のランチ』は、家族で食卓を囲む喜びとシンプルさを魅力的に表現しています。家族や友人が集まるイタリアの祝日「フェラゴスト」を舞台にしたこの映画では、社会的な結びつきの象徴としてパスタが使われています。ジャンニ・ディ・グレゴリオ監督自身が扮するジャンニを取り巻く様々な出来事を通して展開していくストーリー。真夏の首都ローマで、ジャンニは、次々とやってくるお年寄りの客の相手をすることになります。 

ヴェネチア映画祭で上映されたこの映画は、初監督の長編作品に贈られる「ルイジ・デ・ラウレンティス」賞を含む大きな賞を受賞し、ディ・グレゴリオはダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞とナストロ・ダルジェント賞で新人監督賞を受賞しています。コメディとドラマが繊細に絡み合ったこの作品は、食事の支度や共に食卓を囲むことが、いかに家族の絆や力関係を明らかにし、強めるのかを示しています。
 

『いつもの見知らぬ男たち』パスタを人生の比喩として捉えた映画

マリオ・モニチェリ監督による1958年の『いつもの見知らぬ男たち』は、イタリア映画およびケイパー映画のジャンルにおけるマイルストーンです。モンテ・ディ・ピエタという質屋に強盗に入ろうとする、ローマのちっぽけな泥棒グループの波乱万丈を描いたこの映画では、パスタが、日常生活と願望、そして敗北の強烈なメタファーとなっています。登場人物たちが、ひよこ豆のパスタのような質素な食事を共にするシーンは、状況という枠を超えたコミュニティーという意識を反映しているのです。 

この作品は傑作とみなされ、ナストロ・ダルジェント賞ダブル受賞やアカデミー賞外国語映画賞にノミネートされるなど、数多くの賞を受賞しています。『いつもの見知らぬ男たち』は、ユーモアと人の温かさで、主人公たちの打たれ強さや連帯感を見事に探求しています。そして、その背景には、シンプルさと分かち合いの象徴としてのパスタがあるのです。実際のところ、愛すべきこそ泥たちが見つけた本当の戦利品は、パスタ一皿にすぎないのでした。
 

『あんなに愛し合ったのに』パスタの味で過去を味わう映画

『あんなに愛し合ったのに』は、エットーレ・スコラ監督による1974年の映画で、ヴィットリオ・デ・シーカに捧げられています。時を超えて続く友情と戦後のイタリア社会の変化についての思索に心を動かされる作品です。ヴィットリオ・ガスマン、ニーノ・マンフレディ、ステファノ・サッタ・フローレスが演じる3人の友人たち。その各々が異なる背景で、異なる方向へと人生を歩んでいきます。この作品でパスタは、感情的なつながりを示す要素となっています。過ぎ去った時代、つまり主人公たちが未来への理想と希望を共有していた頃を思い出させるものなのです。 

国際的な賞を数多く受賞したこの映画は、30年にわたるイタリアの社会史をたどることができることで知られています。人間の欲望と政治的情景を絡み合わせ、イタリア文化の典型的な習慣から取り上げた一要素を共通のルーツと分かち合う記憶の象徴としているのです。 
 

『旨味の旅』パスタが日本料理と出会うとき

『旨味の旅』が描くのは、ミシュランの星付きレストランのシェフであるガブリエル・カルヴァンのストーリーです。妻との別れに苦しむ彼は、日本へ旅することを決意します。ガブリエルが求めているのは、当然ながら料理に関するもので、第五の味覚である旨味の追求ですが、これは同時に、人生の意味を探す旅でもあります。 

ジェラール・ドパルデュー演じるガブリエルの体験は、人間的な、そしてプロとしての再生のメタファーとなります。食べ物(この映画ではラーメン)がいかに文化表現や人間関係の手段となり得るかが示されている作品です。
 

『タンポポ』完璧なラーメンを求めて

『タンポポ』1985年の日本映画で、監督が皮肉を込めて「ラーメンウエスタン」と称した作品です。売れないラーメン店を経営する未亡人タンポポ。トラック運転手のゴローや、ラーメン通のホームレス、シェフ、インテリアデコレーターを始めとする風変わりな登場人物たちの助けを借りて、彼女は料理の腕前を磨いていきます。 

ユーモアと料理に関する真の考察を織り交ぜながら、様々な風刺が込められたシーンやグロテスクな状況を通じて、生活の中心的な要素として食を讃えた映画です。日本料理の代表ともいえるラーメンに焦点を当てた『タンポポ』は、献身とチームワークがいかに人の人生を変えることができるかを浮き彫りにしています。
 

『深夜食堂:Tokyo Stories』食を通して人生を語る日本のテレビシリーズ

『深夜食堂:Tokyo Storiesは、安倍夜郎のコミック『深夜食堂』を原作とした日本のシリーズです。東京の新宿にある小さな居酒屋を舞台にしたこのシリーズは、深夜0時から朝の7時まで営業している「めしや」の、顔に傷のあるマスターにまつわるストーリーを描いています。 

各エピソードでは、客からリクエストされた特定の料理に焦点を当てています。客たちは、食べたいものと自分の経験を織り交ぜながら、身の上話を始めるのです。『深夜食堂』のユニークな点は、客たちの夜の生活へ向けられた親密なまなざしが描かれていることです。食を通じて、孤独や郷愁、安らぎといったテーマを探求しており、キッチンがいかに心の逃避場所であり、多様な人々の出会いの場となり得るかを見せてくれます。

 

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