この名物料理は、パッサータディポモドーロをベースにしたソースを使った最も有名なプリモピアットのひとつ。イタリア料理と、シンプルで人気のある食材を組み合わせて本格的な味の傑作を生み出す力へのオマージュなのです。
アマトリチャーナの歴史
アマトリチャーナソースの使用について記述されている最も古い記録は、シェフのフランチェスコ・レオナルディの料理マニュアルで、1816年4月に教皇ピウス7世にふるまったと書かれています。レオナルディのレシピには、マカロニ、アマトリーチェのグアンチャーレ、トマト、タマネギ、ペコリーノチーズが含まれており、今日、伝統的なアマトリチャーナと見なされているもののベースを形作っています。
実際にこのソースは、カリッとしたグアンチャーレ、ペコリーノチーズ、トマトソースという至福の組み合わせで、羊飼いと古代の伝統の物語を伝えています。アマトリーチェ発祥のこのレシピは、当初はグリーチャと呼ばれており、地元の羊飼いが主に食していました。スパゲッティやマカロニをオイル、ペコリーノチーズ、コショウ、グアンチャーレで味付けした、トマトを使わないシンプルなレシピです。アメリカ大陸からトマトが渡来したことで、このレシピは今日私たちが知っているアマトリチャーナに変わったのです。いずれにせよ、グリーチャは今でも特にイタリア中部でよく食べられています。
アマトリチャーナ:他のソースとの違いとは?
アマトリチャーナとは何なのかをより深く理解するために、イタリアを代表するトマトベースの他のソースとアマトリチャーナを比べてみましょう。
アマトリチャーナ vs.パスタ・アル・ポモドーロ
アマトリチャーナとパスタ・アル・ポモドーロの違いは材料にあります。パスタ・アル・ポモドーロは、生のトマトかトマトピューレ、オリーブオイル、ニンニクか玉ねぎを使ったシンプルな料理ですが、アマトリチャーナはグアンチャーレ(パンチェッタに似た豚肉の切り身)、ペコリーノチーズ、唐辛子が加えられた、よりコクがあり風味豊かなパスタです。
アマトリチャーナ vs.アッラビアータ
ローマを代表するもうひとつのソースであるアッラビアータは、唐辛子をふんだんに使うのが特徴で、とてもスパイシーな一品です。どちらのソースもトマトをベースにしていますが、アマトリチャーナに使われるグアンチャーレとペコリーノチーズが、アラッビアータには入っていません。
ペコリーノ:アマトリチャーナと結びついたこのチーズのエピソード
ペコリーノ・ロマーノは、アマトリチャーナのポイントとなる材料の1つ。羊の乳から作られるこのハードチーズは、イタリアで最も古いチーズのひとつです。その歴史は古代ローマにまで遡り、長期保存できることから、ローマ軍団の主食となっていました。
塩味の強いペコリーノチーズはアマトリチャーナの味の決め手となり、トマトの甘みとグアンチャーレの旨味を見事に調和させます。他のチーズを使うこともできますが、本格的なアマトリチャーナを味わうためには、ぜひペコリーノ・ロマーノを使うことをお勧めします。
地域的なバリエーションと現代的なアレンジ
近年、何人ものシェフが、アマトリチャーナにキノコや野菜など異色の食材を加えた実験的なレシピを提案し、この定番料理の新しいバリエーションを生み出しています。異なる調理法を検討するのは、キッチンであれこれ試す楽しみが広がったり、好みの味を見つけ、多様な食のニーズを満たすことにも役立ちます。
アマトリチャーナのアレンジレシピをいくつかご紹介しましょう。
- マッシュルームのアマトリチャーナ:このレシピでは、ポルチーニ茸やマッシュルームがソースに加えられており、その豊かな大地の風味がグアンチャーレやペコリーノチーズと完璧にマッチしています。
- ヴィーガンアマトリチャーナ:豊かで味わい深いトマトソースの風味はそのままに、グアンチャーレの代わりに角切りにした燻製豆腐かグルテンミートが、ペコリーノ・ロマーノの代わりにヴィーガンチーズが使われています。